身体には約300個の骨と、約600個の筋肉があります。それらの筋肉すべてを使えているかというとそうではありません。人にはそれぞれ、使いやすいところと使いにくいところがあります。普段の生活の中で自分がどんな風に立っているか、どんな風に座っていてそこからどんな風に立ち上がっているかなどを意識することはほとんどないと思います。その『無意識の動きの中で使っていないところ』=『脳が気づけていないところ』は何もしなければずっと使えないままです。使えていない所が増えると痛みや不調など身体の症状(身体のメッセージ)として現れてきます。
ピラティスは、使えていないところを脳と身体感覚へ気づきを与え、頭と体を統合していくエクササイズです。繰り返しピラティスを行うと、使えていなかった筋肉・関節たちが無意識でも動けるようになっていきます。すると、立ったり座ったり歩いたりといった動作がもともと持っていた自分の身体の使い方を思い出せてより楽に、より軽く出来るようになります。また、新しい運動パターンを身体が学べて普段あった痛みが無くなったり、動作が向上したりします。
ピラティスは、単独の部位・動きで完結するのではなく、様々な部位の動きが「統合」されたより全身的・全体的な動きを目指すエクササイズです。
マットに寝た状態での運動が多くありますが、最終的に立位での身体のコントロール方法を習得することをゴールとしています。
立位での身体のコントロール方法を習得すると、重力に対して「効率的な動き」が可能となり、必要最小限のエネルギーで最大の運動が可能となるため、疲れにくい体を得ることが出来ます。
ピラティスは横隔膜呼吸を行います。横隔膜は、肋骨の内側から腰骨の前面まである大きな筋肉で呼吸により上下します。横隔膜の上には肺と心臓があり、下には内臓があります。臓器も筋肉で動いていますので、それぞれ筋膜で包まれています。そしてそれらの膜は横隔膜の筋膜とも連結をしています。そのため、正しい横隔膜呼吸が行われると、肺や心臓のポンプ作用を助けたり、内臓のマッサージになったりして、肺活量の向上、身体や内臓の血流改善・機能向上も図れます。
また、むくみの原因の一つはリンパの流れが悪くなることです。特に、リンパ節の通り道となる鎖骨・鼠径部周囲の筋肉が硬くなるとリンパの流れが悪くなり体に老廃物がたまりやすくむくみが生じます。そこで、横隔膜呼吸が正しく行えると、自ずと鎖骨や骨盤が連動して動くため、首・鼠径部周囲の筋肉も動かされて循環が改善し柔らかくなります。結果、むくみが改善されるようにます。
ピラティスは、正しい呼吸方法の練習をまず行います。そして、その呼吸を常に保ってエクササイズを行います。エクササイズを繰り返すと、普段の生活において無意識に横隔膜呼吸を行うようになり、内臓機能やむくみの改善が保てるようになります。
ピラティスは横隔膜呼吸を常に保ってエクササイズを行います。その深い呼吸は精神も落ち着き、リフレッシュができます。
心と身体は切り離せない関係にあります。心は身体に大きく左右され、身体もまた心に大きく左右されます。ストレスや運動不足は心に悪影響を与え、病んだ心もまた身体に悪影響を与えます。
ピラティスは、身体の声に耳を傾けるためのちょうどよい運動です。なぜなら、ピラティスはご自身の体と向き合い、身体の動きと共に内観(自分の身体の感覚へ意識を向ける)して行うからです。内観するためには集中することが必要であるため、日頃のストレスを忘れ自分の心と身体にだけ意識が向く時間となります。今この瞬間の自分と向き合う時間は、今の自分を大切にする時間となるため、心身ともにリフレッシュできます。
身体を動かしながら自分を感じる時間を持つことは、人生をより楽しく過ごせるようになるきっかけとなるかもしれません。
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